乳がんはどんな病気?しこりのセルフチェックと早期発見できる方法とは?
婦人科疾患のうちで、もっともかかりやすいとされている乳がん。気になっている方も多いのではないでしょうか?
乳がんは知名度の高い病気ではありますが、きちんと検診を受けている方は少ないのが現状です。症状に気づかずがんが進行してしまえば治療は難しくなるもの。なるべく早くに見つけることが大切です。
今回はそんな気になる乳がんについてご紹介します。ぜひ参考にしてください。
乳がんは婦人科疾患1位の病気
乳がんは1年でおよそ9万人がかかる婦人科疾患です。なかでも、もっともかかりやすい、がんといわれており年々増加傾向にあります。特に多いとされている年齢層は40代後半~60代後半の女性。体調の変化が起こりやすい更年期から高齢期の時期に多いようです。
乳がんは女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量と深くかかわりがあります。通常、エストロゲンの分泌量は生理が終わる時期に高まり排卵期にピークを迎えます。エストロゲンの役割は主に女性生殖器の発育ですが、ほかにも、代謝、精神、自律神経系のなど健康維持に深くかかわっています。
しかし、健康維持に重要な働きをするエストロゲンですが分泌量が多いと乳がんのリスクが高まるといわれています。そのため生理の回数が多い高齢の女性ほど、必然とリスクは高まるのです。
そのほかにも乳がんになりやすい要因はさまざまあります。
乳がんのリスクチェック
以上に当てはまる項目が多いほど乳がんになるリスクは高いと考えられます。特に該当項目が多かった方は生活習慣や食事にも注意する必要があります。気になる方は普段から意識して予防に努めましょう。
乳がんの症状
乳がんの一般的な症状がしこりです。乳房に触れると硬いかたまりを感じるので病院を受診する前に気づく方も少なくありません。そのほかにも乳房の左右差、くぼみ、はれ、分泌液などの症状から分かることも。
早期発見のためには普段から自分で見たり触ったりして、しこりがないか確認することが大切です。
乳房を自分でチェックしましょう
乳がんにいち早く気付くためには乳房の異変に気付くことが大切です。特に乳がんはがんの中でも自分で確認しやすい病気として知られています。ほかの癌にくらべ皮膚表面にできやすいため、一般の方でも見つけやすいからです。
入浴時などでも簡単にチェックできるので、確認するくせをつけるといいでしょう。毎日確認しておけば乳がんの早期発見につながります。
乳がんのチェック方法とは?
指の腹でゆっくりなぞるように乳房に触れていきます。起き上がった状態だけでなく仰向けに寝転がった状態になるなど体勢を変えて触ってみましょう。
特にセルフチェックで分かりやすいのが石鹸で体を洗うときです。滑らせるように洗うとしこりが触れやすくなります。(乳房の外側、脇の下などに多いです)
視覚でのセルフチェックでは乳房全体が写る鏡を使用しましょう。両腕を挙げてみていつもと違うところがないかを確認していきます。正面だけでなく角度を変えて形や色のチェックをしましょう。(くぼみやひきつれ、湿疹や分泌液などがないか)
以上の方法でセルフチェックすれば異変に気づけるはずです。
乳がんではないしこり
「セルフチェックで硬いものが触れる…乳がんかもしれない。」と思う方もいるかもしれませんが、すべてが乳がんだとは限りません。しこりの80%~90%は良性であるため、ほかの病気である可能性の方が高いです。
良性のしこりの場合、弾力があり中で動くことがあります。しかし悪性の場合は全体の組織とくっついているため硬く動きにくいです。
前者の場合、乳がんとは違うしこりである可能性が高いです。
乳がんと間違いやすい病気
乳腺症
乳がんのしこりと1番誤解されやすいのが乳腺症です。乳がんと同じく硬いしこりであるため間違えやすい方が多いのでしょう。乳がんと違う点は生理前に大きくなり生理後小さくなるというところです。
乳腺症はホルモンバランスの乱れから起こる病気で、生理周期に大きな影響を受けます。痛みをともなうこともあるため心配される方が多いですが、問題ありません。逆に乳がんの場合は痛みを感じることはまれです。
乳腺症は基本的に治療の必要はありませんが痛みが気になる場合は鎮痛薬を処方してもらうといいでしょう。
乳腺線維腺腫
乳腺線維腺腫は10代~20代の女性に多い病気です。しこりの境界がはっきりしていて中で動きやすいのが特徴です。大きくなってくると気になる方もいますが、ほうっておいても3cm以上大きくなることはありません。治療しなくても小さくなっていくものがほとんどです。気になる方は念のため細胞診を受けるといいでしょう。
葉状腫瘍
葉状腫瘍とは細胞が結合して腫瘍になったものです。楕円形の形をしていて2~3か月ほどですぐ大ききなります。ほとんどの場合は良性ですが、悪性のことがあるので注意が必要です。画像診断では判別がつきにくいので病理検査が必要となります。
乳腺炎
乳腺炎とは細菌感染により膿がたまった状態をいいます。産後3か月以内に起こることが多い症状で、乳房のはれや痛み、熱感、発熱などの症状をともないます。自然治癒する場合もありますが、ほうっておくと、さらに炎症が進んでしまうことも。そのため早めの受診が必要です。
入管内乳頭腫
入管内乳頭腫は入管(母乳の通り道)にできる腫瘍のことです。腫瘍が大きくなるとしこりが分かるようになります。基本的にはがん化することはないので心配いりません。しかし、まれにがん化していることがあるため、病理検査が必要です。
嚢胞
嚢胞とは分泌液が袋状にたまった状態をいいます。乳房だけでなく細胞のあらゆるところのにできる病変で、基本的にほうっておいても問題はありません。しかし大きくなった場合は手術することがあります。
乳がん検診は早めに受けましょう
乳がんを早期発見するには自分でチェックすることも大切ですが、医師による検診も大切です。特に乳がんのリスクが高くなるといわれる40歳以降は注意が必要です。実際に40歳以降の乳がん検診は国からも推奨されています。
40歳を過ぎた方は2年に1回は検診を受けることをおすすめします。
検診といっても、さまざまな種類がありますので、それぞれご紹介しましょう。
マンモグラフィー
乳房を片方ずつはさむレントゲン撮影のことです。撮影時は、状態をしかっり確認できるよう乳房を薄くしてはさまなければなりません。そのため圧迫感や少し痛みを感じる方もいるでしょう。
マンモグラフィーの痛みは乳腺を圧迫する痛みです。大きさは関係なく乳腺の量によって痛みに差がでます。痛みが気になる方もいるかもしれませんが、検査はすぐ終ることがほとんどです。
超音波エコー検査
超音波エコー検査とは超音波の反射で乳房の状態を知る検査です。ゲルを塗ってエコーを当てるだけでしこりの大きさや病変、リンパ節転移などが分かります。検査自体は10分ほどで終わります。
MRI検査
MRIの磁気によって乳房の状態を確認する検査です。乳房の断面像を確認できます。病変した部位が分かりやすく、造影剤を使用しなくても血管が確認できるなどの特徴があります。マンモグラフィーのように乳房をはさむことなく検査できるので痛みはありません。
CT検査
レントゲンと同様で、エックス線を使って断面像を撮影します。がんの大きさや広がりなどを確認できます。MRIにくらべ骨の影響をうけやすいといったデメリットがありますが、短時間で撮影できるのでスムーズに終わるでしょう。
骨シンチグラフィ
骨シンチグラフィはがんが骨に転移していないかを確認できる検査です。検査前に放射線同位元素を含む薬剤を注射をすることで全身の骨の状態を知ることができます。
放射線同位元素は時間とともに代謝され排泄されるので、体に残りません。安全に検査できます。
PET検査
画像診断だけでは難しい小さながんを発見できる検査です。検査前にブドウ糖を注射しがんの活動状況を確認します。検査自体はCTと同様ですがより精密な検査ができるため、信ぴょう性の高い診断が期待できます。
乳がん検診が恥ずかしいという方へ
前述したとおり乳がんは婦人科疾患のなかでもっとも多い病気といわれていて、多くの方が治療しています。それだけさまざまな方が受けられているのであなたが特別だということはありません。乳がんの検診に恥ずかしさを感じる方も多いですが、最近は女性の専門医も増えているので安心です。
恥ずかしいというお気持ちは分かりますが先延ばしするのはよくありません。気づかない間にがんが進行していた…そんなことにならないためにも定期的に検診することが大切です。
まとめ
今回は乳がんについてご紹介ました。乳がんは誰にでも起こる可能性のある病気です。リスクが高い方もそうでなかった方も普段から意識してセルフチェックしておくことをおすすめします。
また、乳がんの検診にはさまざまな方法があります。マンモグラフィーの痛みが心配という方はMRIやCT、PET検査などを検討してみましょう。痛みを感じず検査が受けられます。病院にいくことをためらう方も多いですが、少しの勇気が早期発見につながります。ぜひ今のうちから乳がん検診をしておきましょう。
癌は早期に発見できるほど治りやすい病気です。40歳を超えた方は2年に1回は乳がん検診に行きましょう。